植物細胞モデル – 3B Scientific Plant cell model, magnified 500,000-1,000,000 times User Manual
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植物細胞モデル
(500,000 〜 1,000,000 倍大)
細胞学の歴史
植物細胞学は植物学の中の一つの独立した分野で
,
植物細胞の構造と機能について論じています。「細胞」とい
う言葉は(ラテン語:
cellula
=
chamber,
compartment,
cell
)はロバート・フックが初期の頃の光学顕微鏡
を使いコルクの組織内にある細胞を発見/記録した
1665
年に生まれました。
19
世紀の初め
,
フランツ・マイエ
ン(
1804-1840
)は
,
細胞が植物器官の基本単位であるとしました。
1838
年
,1839
年には
,
マティアス・ヤコブ・シュライデンとテオドール・シュワンが「あらゆる生物は細胞
から成り立っている」という細胞説をとなえました。
1845
年には
,
カール・テオドール・エルンスト・フォン
・シーボルトは原生動物(単細胞生物)の観察に基づき
,
細胞は単独で存在することが可能で生物の最小単位
であるとしました。同時に
,
ルイ・パスツールや他の科学者達もその時代広く行き渡っていた自然発生説(細
胞は死んだ有機物から自然的に発生する)に意義を唱えました。
1855
年には
,
ルドルフ・ウィルヒョウはマイ
エンの学説を支持し
,
「全ての細胞は細胞から生ずる(“
omnis
cellula
e
cellula
”)」と唱えました。
1879
には
,
エデュアルト・シュトラスブルガーは植物の核の分裂を発見しました。その後
,E.
ルスカと
H.
マー
ルが発明した透過型電子顕微鏡(
TEM
)の登場により観察は飛躍的に進み
,1940
年には細胞の構造や機能を調
べることができるようになりました。
動物と同様
,
植物細胞にも次のような特徴があります:
・複雑な構造を有しています
・内側と外側の刺激に反応します
・増殖する能力を持っています
動物と植物細胞の違い
動物と直物細胞の細胞組織に共通性があることは
1838
年にシュライデンとシュワンにより発見されています
が
,
基本構造に大きな違いもあります。
植物細胞と動物細胞の最も大きな違いとして以下の
3
点があげられます:
1.
植物細胞は細胞壁という硬い組織に囲まれています。細胞壁は細胞内側の浸透圧(特に膨圧)に抵抗する役
割もあり
,
これにより細胞に強度とさらなる安定性を与えています。
2.
植物細胞は細胞内小器官として色素体を持っています。これらには
,
光合成の場となる緑の葉緑体などが含
まれます。
3.
植物細胞内には液胞があり
,
ここでは代謝産物の貯蔵
,
高分子の物質の分解が行われます。
植物細胞の大きさは平均して
10
〜
100
µm
で
,
簡単な光学顕微鏡で観察することができます。
1
本の木はおおよ
そ
10
13
(
=
10
兆)個もの細胞でできています。特異な細胞に分化したのち
,
同質の細胞同士が集まり
,
それ
ぞれ特殊な細胞の集合体
,
器官を形成します。
植物細胞の構造と機能
(文中の番号は図を参照)
注:生きている細胞はこのモデルと違い
,
絶え間なく動いています
個々の細胞内小器官はそれぞれを構成するタンパク質
,
酵素
,
イオン濃度なども異なっており
,
それぞれが持
つ機能に応じて分類されます。植物細胞学においてプロトプラスト(原形質体)は非常に重要な細胞単位で
,
これは細胞を取り囲んでいる細胞壁が除去され
,
細胞膜に全細胞内容が囲まれた状態です。
細胞骨格と細胞質(
1
)
真核生物の細胞器官(オルガネラ)はそれぞれが膜構造によって囲まれ
,
他の小器官と分割されています。こ
の分割のことを区画化といい
,
それぞれの区画は細胞内区画と呼ばれています。これらの区画化された細胞内
小器官は
,
光学顕微鏡を用いてプロトプラストを観察することで
,
無色で流動する細胞質(
60
〜
90%
の水
,
タンパク質
,
脂質
,
核酸)中にその存在を確認できます。細胞膜(
2
)は細胞の境界を形成しており
,
細胞内
部を外環境から隔離しています。細胞膜は脂質二重層の構造を持ち
,
これはリン脂質とたんぱく質が流動的に
移動する単分子層で構成されます(流動モザイクモデル)。全ての植物・動物性の膜は同じ基本構造(単位膜)
を持っています。
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